介護タクシー

介護タクシー「ぶらさがり」とは

「ぶらさがり」とは、道路運送法第78条第3号および同法施行規則第50条に基づく自家用有償旅客運送許可の通称です。訪問介護事業所等が、介護職員の自家用車または事業所の車両を使って要介護者等を有償で輸送できる制度です。

通常のタクシー運行(緑ナンバー)には第二種運転免許が必要ですが、ぶらさがりは白ナンバーで、第一種免許で運行できるのが大きな特徴です。その代わり、所定の講習修了と介護資格の保有が条件となります。

【重要】ぶらさがりは単独では取得できません
ぶらさがりを取得するには、まず福祉タクシー(道路運送法第4条許可)を取得していることが大前提です。その上で、法人格と介護保険適用事業所であることが必要です。福祉タクシーの許可についてはこちらのページをご参照ください。

⚠️ ぶらさがり取得の3つの前提条件

福祉タクシー
(4条許可)を
取得済みであること

法人格を
有していること
(個人は不可)

介護保険適用
事業所であること
(訪問介護等)

福祉タクシー(4条許可)との違い

ぶらさがりは福祉タクシーと比べて取得しやすい反面、できることの範囲も限定されています。

比較項目 福祉タクシー(4条許可) ぶらさがり(78条3号)
法律上の根拠 道路運送法第4条 道路運送法第78条第3号
申請者 個人・法人どちらでも可 法人のみ
前提条件 なし(単独で申請可) 4条許可+介護保険適用事業所
運転免許 第二種運転免許が必要 第一種免許でOK
車両ナンバー 緑ナンバー(事業用) 白ナンバーで運行可
許可の単位 法人・事業所に対して付与 個人(乗務員)ごとに付与
運賃 ケア運賃・介護運賃等 介護運賃(通常より約3割安)
利用できる範囲 幅広い福祉輸送全般 ケアプランに基づく輸送に限定
流し営業 禁止 禁止
ぶらさがりの運賃は通常の介護タクシー(ケア運賃)より約3割安く設定されています。さらに車両への乗降介助(通院等乗降介助)は介護保険が適用されるため、利用者にとって非常に利用しやすいサービスとなります。これがぶらさがりの大きな魅力です。

ぶらさがりを取得するメリット

メリット 01

第二種免許なしで有償運送ができる

通常のタクシー運行には第二種運転免許が必要ですが、ぶらさがりでは所定の講習(福祉有償運送運転者講習)を修了した第一種免許所持者が運行できます。スタッフの確保がしやすくなります。

メリット 02

白ナンバーのまま有償運送できる

事業所の車両や介護職員の自家用車を白ナンバーのまま有償運送に使用できます。緑ナンバー取得のための費用・手続きが不要で、既存の車両を活用できます。

メリット 03

介護事業所の収益向上・サービス拡大

既存の訪問介護事業所が輸送サービスを付加することで、利用者の満足度向上と収益拡大が期待できます。超高齢社会における福祉輸送の需要増加を取り込める有力な手段です。

メリット 04

利用者にとってもメリット大

運賃が通常の介護タクシーより約3割安く、乗降介助には介護保険が適用されます。顔なじみのヘルパーが自宅まで来て乗降もサポートしてくれるため、安心して利用できると評価が高いサービスです。

取得のための要件

乗務員(個人)ごとの要件

ぶらさがりの許可は、乗務する個人ごとに付与されます。各乗務員が以下の要件をすべて満たす必要があります。

運転免許

  • 普通自動車第一種運転免許(第二種免許は不要)
  • 免許の種類は運転する車両に対応したものであること

福祉有償運送運転者講習の修了 必須

  • 国土交通大臣の認定を受けた団体が実施する「福祉有償運送運転者講習」を修了していること
  • おおよそ1〜2日間の講習(午前:座学、午後:実車実習)
  • 修了後に交付される修了証が申請の添付書類となる
  • 修了証は個人に帰属するため、転職後も有効に使用できる
  • 三重県内での開催は年1〜2回程度(社会福祉協議会等)。他県での受講も可

介護資格の保有 必須

  • 以下のいずれかの資格を保有していること
  • 介護福祉士
  • 訪問介護員(ホームヘルパー)2級以上/介護職員初任者研修修了
  • 居宅介護従業者

任意保険の確認

  • 使用する車両の任意保険が事業としての有償運送に適用される内容であることを保険会社に確認すること
  • 通常の自家用車向け保険では有償運送時に補償されない場合がある
  • 事業用途への切り替えまたは特約の追加が必要な場合がある

事業所(法人)の要件

  • 道路運送法第4条に基づく福祉タクシー(一般乗用旅客自動車運送事業・福祉輸送限定)の経営許可を取得済みであること
  • 法人格を有していること(株式会社・合同会社・医療法人・社会福祉法人等)。個人事業主は申請不可
  • 介護保険法に基づく指定居宅サービス事業所(訪問介護等)であること
  • 運送に使用する車両を事前に運輸局へ届け出て許可証の交付を受けること

福祉有償運送運転者講習について

ぶらさがり申請に必須の講習です。申請のタイミングに合わせて早めに受講計画を立てることが重要です。

福祉有償運送運転者講習 概要
講習の内容

おおよそ1〜2日間の講習です。午前中は道路運送法・介護保険制度等の座学、午後は実際の車両を使った実技講習(乗降介助・車椅子操作等)を行います。修了すると修了証が交付されます。

開催場所・頻度

各都道府県の社会福祉協議会や国土交通大臣認定の民間団体が実施します。三重県内では年1〜2回程度の開催です。都市部ではより頻繁に開催されています。

他県での受講もOK

三重県内の開催が申請タイミングに合わない場合、他県で受講した修了証でも申請に使用できます。実際に申請のタイミングに合わせて他県で受講されたケースもあります。

修了証の扱い

修了証は個人に帰属するため、転職後も有効です。大切に保管してください。申請の際は修了証の写しを添付書類として提出します。

受講前に確認を:講習の開催日程はネット検索や各都道府県の社会福祉協議会へお問い合わせください。申請予定日から逆算して早めに受講計画を立てることをお勧めします。

申請の流れ

福祉タクシー(4条許可)取得後、運輸開始届が完了してから申請します。

1前提確認 福祉タクシー(4条許可)の取得・運輸開始
ぶらさがりは4条許可の運輸開始届が完了していることが前提です。まず福祉タクシーの許可・運輸開始を済ませてください。
2事前準備 乗務員の要件確認・講習受講・資格確認
乗務を予定している介護職員が福祉有償運送運転者講習を修了しているか、介護資格を保有しているかを確認します。未受講の場合は受講計画を立てます。
3保険確認 使用車両の任意保険の確認・変更
使用する車両の任意保険が有償運送に対応しているか保険会社へ確認します。必要に応じて事業用途への変更や特約の追加を行います。
4書類作成 申請書類の作成・準備
申請書・車両届出書・乗務員名簿・講習修了証の写し・資格証明書等を準備します。
5三重陸運支局 申請書提出・審査
三重陸運支局へ申請書類を提出します。審査後、許可証(自家用有償旅客運送許可証)が交付されます。
6運送開始 許可証交付・有償運送開始
許可証を受領し、車両に許可番号を表示することで有償運送を開始できます。乗務員が増える場合は個人ごとに追加の届出が必要です。

主な必要書類一覧

※状況により異なります。詳細はご相談ください。

書類名 備考
自家用有償旅客運送許可申請書 指定様式
使用車両の届出書 車検証の写しを添付
乗務員名簿 乗務を行う介護職員全員分
福祉有償運送運転者講習修了証の写し 乗務員全員分。他県での修了証も可
介護資格証明書の写し 介護福祉士証・ヘルパー修了証等、乗務員全員分
運転免許証の写し 乗務員全員分
任意保険証書の写し 有償運送に対応した保険内容であること
介護保険適用事業所の指定通知書の写し 訪問介護等の指定を受けていることの証明
法人の登記事項証明書 履歴事項全部証明書
福祉タクシー(4条許可)の許可証の写し 取得済みであることの確認

費用・報酬について

ぶらさがり(自家用有償旅客運送)申請 費用の目安
行政書士報酬
50,000円〜(税別)
登録免許税等
なし
その他実費(証明書取得等)
数千円〜
※ 報酬は乗務員の人数・車両台数・書類の準備状況等により異なります。
※ 福祉タクシー(4条許可)と合わせてご依頼の場合はセット料金にてご対応します。
※ 初回相談無料です。まずはお気軽にお問い合わせください。

よくあるご質問

Q. ぶらさがりだけを取得することはできますか?
A. できません。ぶらさがりを取得するには①福祉タクシー(4条許可)を取得済みであること、②法人格を有していること、③介護保険適用事業所であることの3つがすべて前提条件となります。
Q. 個人事業主でも申請できますか?
A. できません。ぶらさがりは法人のみ申請できる制度です。個人事業主の方が福祉輸送を行いたい場合は、まず法人を設立した上で福祉タクシー(4条許可)の取得から始める必要があります。
Q. 福祉有償運送運転者講習はいつ受ければよいですか?
A. 申請の前に受講を完了している必要があります。三重県内の開催は年1〜2回程度と少ないため、申請予定から逆算して早めに受講計画を立てることをお勧めします。他県での受講も申請に使用できます。
Q. 許可は事業所に対して下りるのですか?
A. 福祉タクシー(4条許可)は法人・事業所に対して付与されますが、ぶらさがりの許可は乗務する個人(介護職員)ごとに付与されます。乗務員が増えるごとに個別の届出が必要です。
Q. 自家用車で運送した場合、任意保険は適用されますか?
A. 通常の自家用車向け任意保険では、有償運送時に保険が適用されない場合があります。必ず保険会社に有償運送への対応を確認し、必要に応じて特約の追加や変更を行ってください。これは申請前に必ず確認が必要な重要事項です。
Q. 修了証を紛失した場合はどうなりますか?
A. 修了証は個人に帰属する重要書類です。紛失した場合は講習を実施した団体へ再発行を依頼してください。再発行に時間がかかる場合があるため、大切に保管しておくことをお勧めします。